スウェーデンのお盆(?)、All Saints’Day


11月の第一土曜日はスウェーデンの国民の祝日。
前日からお店や職場、学校が短縮になったりお休みになったり。

そう、この日はAll Saints’ Day(諸聖人の日)といって、キリスト教にルーツを持つ行事が行われる日。



死者やご先祖の魂を供養する為に、家族みんなでキャンドルを持ってお墓に向かう。




https://sweden.se/culture-traditions/all-saints-day/

ラッキーなことに私も友達の家族にそのお墓詣りに連れていってもらったので、その様子を生で見る機会を持つことができた。



もちろんそれぞれがそれぞれの家族の馴染みの墓地に行くのだと思うけれど、ストックホルムの場合は市内の南部にあるSkogskyrkogårdenという巨大なお墓に行くのが最も一般的。

1900年代初頭にストックホルム内の既存の共同墓地だけでは不十分になったことを受けて、ストックホルム市が新たに共同墓地を作ることを決めたのがこのSkogskyrkogårdenの起源。

単なる墓場ではなく、自然と建築が完全に一体化しているようなユニークさとオリジナリティを持たせることが目指されて、最終的に1914年のコンペで優勝した二人のデザイナーによって設計されたそう。
ということで、ちょっと手の込んだ歴史のあるユニークな墓地なのだ。
1994年にはUNESCOの世界遺産にも登録されている。


http://skogskyrkogarden.stockholm.se/in-english/

(日本語版のガイドはポイントがよくまとまっていてわかりやすい↓)
http://skogskyrkogarden.stockholm.se/globalassets/dokument/skogskyrkogarden_2012_ja.pdf



ちょっと脇道に逸れてしまったけれど、実際に行った感想は…

まずSkogskyrkogårdenの最寄り駅からすでに溢れんばかりの人、人、人。
大量の人が墓地に向かってぞろぞろと歩いていく。
とはいえ行事の性質上からか、やはり皆どこか控えめで落ち着いた様子だった。


Skogskyrkogårdenに入るとその広大さに驚かされる。

エリア内は広大な芝生と白樺の森がひたすら繰り返されていて、その中にいくつもの建物(無宗教となっているので教会とは呼ばれていない)が申し訳程度に自然に馴染むようにして点在しているといった感じ。

といっても、広すぎて実際にそのような構成になっていることを把握したのはかなり歩き回った後だけど。


Skogskyrkogårdenに足を踏み入れた途端人がそれぞれに関係のあるお墓を目指して一斉に散らばるので、急に大海に放たれたように一気に密度が下がる。

道を進む途中、左右に広がる深淵の森の中には人々がお墓に供えたロウソクの海のようなものができている。
森の中にまだ入りこむ前、遠くからでもそれが見える。




そして実際に森の中に入ると遠くから眺めるのとはまた違い、そこに作り出されている雰囲気にあたかも身体が飲み込まれてしまうような感覚に陥る。

数十メートル級であろう真っ直ぐに伸びる白樺の木々の傘の下、真っ暗闇と、無造作に散らばったお墓の周りに置かれた数千・数万ものキャンドルの灯りの海のコントラストがものすごい。

この目が眩むような色彩と感覚のコントラストが、来る人の背筋をピシッとさせるような荘厳さと心が落ち着くような安らぎのアンビバレンスを作りあげていた。



ちなみに、私が(もちろん他の人もかもしれないけれど、)このなんともいえない感覚を持ったのは、まさにこの墓地を設計した人の本望だったかもしれない、

なんて。


それぞれが各々のお墓にキャンドルをお供えした後は、他の人のお墓もしばらくゆっくり見て廻るらしかった(この部分は日本のお墓詣りではあまり馴染みがないような気がしたけど)。

その後時間がある人は建物で流される生演奏を聴いたり。
このときに面白いのは、さっき上で書いたようにこの墓地では無宗教が原則となっているので、beetlesなどの一般のアーティストの曲が演奏されていたところ。
非常に包括的な考えを持つ共同墓地なんだな。


こうしてゆったりとこの広大な墓地を巡り、それぞれ帰路につくというのが一連の流れ。


もちろんこれはストックホルムで最もポピュラーなSkogskyrkogårdenの話しであり、全国ではもっと色々なパターンがあるかもしれない。


いずれにしても、日本の外でこういった文化に根ざした行事を経験できるのは私にとってのとても貴重な経験になった。
こっちではどんな考え方をして、歴史的にどんな生活パターンを送ってきたのかなあ、とさらに想像を膨らませることができるから。




…最後に
(なんとなく察していた人は多いと思うけれど)、
やはりAll Saints’ Dayはハロウィンと起源を共にしているらしい。

詳しいことはここでは省略しますが、調べると沢山出てくるので興味のある人はぜひ!

(それにしても、もともと同じ行事であっても時代を経ると地域ごとにこんなに祝い方やその行事に対する捉え方が異なってくるのか…と思ったところ。)


ということで今回はここまで。

また次回も気になったことを見つけたら投稿します!

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