カーテンをつけないスウェーデンの人々
12月になりいよいよ日が短くなってきた。
目が覚めても外はまだ真っ暗で、やっと日が昇ったかと思えばお昼ごはんを食べたらもう陽が沈む。
つまり、一日のほとんどが夜。
慣れない環境でこの文字通りの物理的な夜長に耐えるのは、やはり精神的にも身体的にもちょっと厳しいものがある。
しかし、これを厳しいと感じるのは留学生のみではなく、現地の住人スウェーデン人も同じらしい。
毎年経験して慣れているとはいえ、やっぱり人間は太陽の光が必要なんだろうな…。
…で、そう、これがスウェーデンの人たちがこれでもか!というほど沢山の明かりを家の中に灯す1つの理由。
こちらの人は冬になると、家の中にキャンドルや豆電球、星のオーナメントを沢山飾る。
そんなに?!っていうほど飾る。
(でも面白いのは、その代わりに天井などに付いているメインの電気はつけないこと。)
これは毎年やってくる長い暗い冬の中で少しでも温かみを保つために生まれた工夫と言えようか、努力の結晶と言えようか…。
まあ何れにしてもこの独特の環境の中で生まれたスウェーデン人の生活の知恵なんだろうと思う。
ところで私が今日伝えたいのは、このように屋内の装飾や明かりがすごいこと自体ではない。
そうではなく、日本とは違う面白いこと。
それは…
カーテンを閉めないこと。
実際にカーテンが付いているかいないのか…は置いておくとして、(笑)
とにかくずっとカーテンを開けっ放しにしている。
もちろん、ということは家庭の家の中のインテリアは丸見え。
インテリアどころか、中にいる人が何をしているかもまるわかり。
しかも外の暗がりとのコントラストで外から見ると余計にこれらが目立つので、恥ずかしくないの!?とツッコミたくなってしまうときもある。
しかし実際、こちらの人たちにこのオープンさを恥ずかしがる気配は全くない。
それどころか、むしろ競ってインテリアを見せ合っているようにも見える。
実はスウェーデンに来る前からカーテンを閉めない習慣については聞いていた。
でもそのときは、何で敢えてオープンにする必要があるのかさっぱりわからなかったなあ。
しかししかし、実際にこの冬を経験して(とはいえまだまだ序盤だけど)、内にいる者と外にいるものが暖かさを共有する一体感がどんなにお互いの精神的な落ち着きに繋がるかをよーく実感した。
その結果、カーテンを取り払って全部オープンにしてしまいたくなる気持ちが、ここにきて良ーく分かった。
(文化や習慣は、理論では説明しきれない感覚的な部分から段々と構築されていくってことですね!)
実際に、カーテンを取り払うことで外の世界に解放された灯りたちは、家路につく人々の心を温めてくれる。
実際にどんな感じかということをよく伝えるために、ここから先でちょっと表現してみたい。
暗黒の世界に浮かび上がる、部屋の中で灯るロウソクや飾りの星や連続した豆電球。
暗黒の世界と表現したのは文章を美しくするためではなくて、本当にそれ程暗いから。
といのも、スウェーデンは日本のように人口が多くないからか、(外は例えば東京なんかに住んでいたら考えられない程度に)概して街中の「電気」が圧倒的に少ない。なので、本当に夜の空気の色は本当に吸い込まれるような黒さ。
その黒さとそれを裂くような家庭の灯りの金色やオレンジが、妖艶なコントラストを作りだす。
思わずついついうっとり見入ってしまうような激しいコントラスト。
マンションやアパートとなると更に幻想的。このポツポツ灯りたちが規則的なパターンが空中に浮かんでいるように見えるから。
今まで見たこともないような特別な世界。
確かに寒いし暗い。でも、そこにも人々は住んでいて、生きている。
灯りの温かみが美しいと言ったけれど、実際にはそれはそこに住む人々の生活の温かみが形になって表れた美しさかもしれない。
その「美しさ」を知ってしまうと、カーテンを外すのも理解できるような気がする。
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