未だに掴めない、スウェーデン人のとある側面

こちらで生活をしていると時々戸惑うことがあります。


スウェーデンの人ってものすごく合理的な考え方をするかと思いきや、あるところでは突然突然情緒のような非合理的なものを優先させるたりする。


だから、一緒にいると
「あっ、ここは省いて良いんだ、、!?(これにはそんなに思い入れがなかったのか…)」
とか、反対に
「あっ、あっごめん、これはこだわった方が良かったのね!?」
みたいな場面にしばしば…


きっとどこかにここでは効率や合理性を優先する、ここでは情緒を優先する、という線引きがあるのでしょうが、私はまだまだそのボーダーラインを解明できていません。



と、冒頭からいきなり効率や合理性・情緒といった抽象的な言葉を並べ、とってもわかりにくい文章を作ってしまいました。

これだけでは一体どういうことなのか伝わらないと思うので、
スウェーデン人の効率を追求する場面、情緒を優先する場面を、具体的な例で私なりに説明してみます。




まず、スウェーデン人が効率を追求しているんだな〜と強く感じるところには例えばお金。

実は私、こちらに来てからほとんど現金を触っていません。
(触っていないどころか見てもいない。)
それは、こちらではお金のやりとりにおいて徹底的な電子化がなされているから。

実際、決済の効率化にかける熱量は半端なく(少なくとも日本で現金が当然だった私からすれば)、飴一粒くらいのどんなに小さなお買い物でもカード払いは当然、それどころか国民は国に管理されているパーソナルナンバーと銀行口座と携帯をリンクさせ、ケータイのアプリ一つで友達との割り勘から大きな買い物の支払いといったありとあらゆる金銭の交換を済ませてしまう。

驚いた私はある友達に

「銀行口座情報までパーソナルナンバーで管理しちゃうの?!こんな個人情報預けて心配じゃないの?!」

と訊いたら、

「大丈夫だよ。それよりも銀行に往復するために人生の一部の時間を割くなんて勿体な過ぎない?!ありえないありえない。」

って言われました(笑)


そう言われればそうなんだけど…

折角美しいカラフルな新紙幣が昨年から導入されたのに、そんなこともここではあまり関係ないようです…



この場合は国民と政府の強い信頼関係が成立していることも理由なのは間違いないですが、それにしても決済に関する効率化へのパッションには圧倒されてしまいました。

効率化できるところは徹底的に効率化するという、合理的な考え方をすることがあるんですね。




では反対に、どんなときに情緒や目に見えないものを優先するのか?といえば…

スウェーデン人は概してお家の中をデコレートするのが好きだということがわかってきたのですが、その中で彼らが情緒を大事にすることを上手く説明する面白い例があります。

それは、(特にデコレーションや日用品に対して)なんだかどうも「本物」を求める感が強い。こと。

例えば、灯りを灯すにしても、本物のろうそくに本物の火を灯します。
電池を入れてスイッチを入れると火がついているように見える電子キャンドルではなく。

花を飾るにしても、敢えて本物の生きている植物を花瓶に挿すことが多い。造花ではなく。



もし効率という観点から考えると、安くてかつ長持ちする電子ろうそくを買えば良いし、枯れない造花を一回買えば良い話しです。


    …でもそれは、彼らからすると家の雰囲気が崩れる上に心の豊かさが失われるからなんとなく悲しいことだそう。


勿論お店には電子キャンドルも造花も売っています。それに、全員がそういった考えを持っているとは言いません。


しかし知り合いや友達の自宅に足を運んで私が得る印象はやはり、インテリアに関しては効率よりも情緒や目に見えないものの価値を優先するというもの。





こんな風にして、私なりに効率を優先するスウェーデン人、情緒を優先するスウェーデン人のことを具体的に描いてみました。
この例が上手く説明できているかわからないのですが、少しだけでも理解の助けになっていたら…



さて私がこれを通じて言いたかったのは、このように彼らは時と場合によって効率の追求と情緒の優先という真反対の行為を上手く使い分ける傾向にあるということ。

しかも、どういった場面の時に効率、どういった場面の時に情緒を優先するのか判断する基準には、一定の共通の認識があるように思える。
(あくまでも、わたくしニューカマーの視点からすればですが。)


だから基準を感覚で掴みきっていないニューカマーたちはしばしば、冒頭で書いたみたいにスウェーデン人のそのモードの切り替えに困惑することがあるということなのです。




…でもそれと同時に思うのは、実際はその二面性こそがこの国の魅力かも知れないということ。

合理性・情緒の追求という相反する行為を場面ごとで上手く使い分けることによって、効率化によって変えられるところはどんどん変えていくけれど、目に見えない豊かさのような守るべきものは守る。

あ、いや、もしかして、守るべきものを守るために変えられる部分を変えていっていると言った方が正確なのでしょうか?


…うーん…わからない。

わからないけど、だからこそ彼らがどんな風に考えているのかますます気になってしまう。
だから、そんな謎に包まれていること自体がスウェーデンの魅力だとも言える。



そしてさらに言えば、この二面性はスウェーデンの政治や企業のユニークさにも影響しているんじゃないかなんて考えたりもします。

だって、合理性追求と情緒優先の使い分けが本当にこの国の国民性として潜んでいるとしたらば、それがスウェーデンの政治やビジネス考え方に反映されていたっておかしくないから。

なので、この基準を少しずつ探ってみるのはスウェーデンの政治やビジネがなんでユニークなのかのヒントになったりして〜と思いながら日々ちょっとずつ観察してみています。(五感で、ですが笑)

こんなことを探るのも、もしかしたらスウェーデン留学の醍醐味かも知れません。




今日は、私が個人的に観察したスウェーデン人のある側面ー効率の追求と情緒を優先させることの使い分けをすることーについて書いてみました。

例によって全てが私の見解であり意見なので、あくまでも参考程度で流していただけると嬉しいです…笑

でも、スウェーデンがどんな雰囲気なのか、どんな国なのか、感覚としてうっすら感じることに貢献できていたらとても嬉しい。


では今回はここまで、また次回!





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