スウェーデンのgender equality(3)


間が空いてしまいましたが、gender equalityに関する記事第3弾です。

一つ目の記事では
具体的に今までどんな場面でgender equalityを意識させるようなものに触れる機会があったか

二つめの記事では
スウェーデンが過去にgender equalityを推進するようになった経緯

について扱いました。

この中でも書いたように、スウェーデンでは性別の差がその人の選択肢の幅の差に繋がらないようにするために最大限の工夫がなされているということがわかります。

実際に私自身も
「男性女性問わず、それぞれがそれぞれらしくのびのびと生きているスウェーデン人」
というイメージをこの1年間で描いていきました。


数字として見ても女性と男性のそれの差は日本に比べて小さいです。

例えば20代後半から60歳くらいまでの女性の就業率は約80%。
女性議員の割合も全体の約45%。

経済的にも政治的にもその地位はある程度確立されているようです。


このように、はたから見ると男女平等は十分に達成されているように見えます。

が、

そんなスウェーデンにもやはり課題はあります。

そして事実把握として、ネガティブアスペクトを知ることも重要だと思います。



ということで、前回・前々回の記事を踏まえた上で、今回はスウェーデンがgender equalityに関して抱える課題について書いていきますね。

記事が長くなりすぎないように、メジャーな課題1つだけを取り上げます。
女性の労働参加に関するものです。



さていきなり本題に入りますが、

スウェーデンの労働市場では
「女性の公的セクターへの偏り」、

こんな現象が起こっています。


これはその背景にある「問題」の結果、起こってしまっていることです。

ではその問題は何なのか?

それは、
・民間企業における管理職の比率
・フルタイム
が(自由主義的な国々と比べて比較的)低いということ。

女性参加が進んでいるスウェーデンのイメージとは異なって意外?!な感じがしますが、

冷静に考えるとその理由は理解できるのです。


スウェーデンは男女平等を一つの理由として、女性の社会進出を促す「出産・育児休暇制度」を充実させてきました。

女性でキャリアを積んでいても、政府からのサポートによって子育てに専念することができるようにしてきたのです。
女性が社会にでるインセンティブを高めるためにです。


しかーーし。

この充実した育休制度保障されたことが、
かえって民間企業にとって(育休が保障されている)女性を雇うことのリスクを増やす、、!

という皮肉な結果を生み出してしまったのです。

もちろん父親・母親のどちらが育休を使用しても良いことにはなっていますが、それでもまだ女性の方が多く育休を利用する傾向にある。

そうすると結果的に、ブランクができる可能性が高い女性を正社員として、特に幹部職として雇うことは民間企業にとってはできれば避けたい対象…になってしまうんですね。


もちろん育休制度の充実だけが管理職の比率、フルタイムの低さの原因の全てではありませんが、

一つの大きな理由であることは確かです。

しかもこれが女性の社会進出を促進させるために設計された制度だということを考えると、
脱しようのない矛盾を感じます。
皮肉だ…


ここではテーマである男女平等という視点に基づいて、幹部職やフルタイムの女性の低さを問題として扱うことを前提としていました。
で、スウェーデンも国としてこれを問題視する立場にいるわけです。

だとすればこの、幹部職やフルタイムにおける女性比率の低さ問題を解決するのはスウェーデンにとっての重要な課題。


未だに公的セクターに偏っている女性の割合、その背景にある民間セクターでの女性の採用の現状。

これをスウェーデン的福祉システムの中でどう改善していくのか…
今後どうするのか気になります。



にしても、蓋をあけるとスウェーデンにもこんな事実があるのですね。

今日は女性の労働参加という観点のみを取り上げてスウェーデンの男女平等の課題について書きましたが、
この国にも他にもまだ矛盾や未解決な点があるのは間違いないです。


スウェーデンや北欧の国々は男女平等における理想郷として見られがちですが、
当然そこには課題もあるわけです。


北欧は完璧だね〜!と言って思考停止してしまうのは勿体ないです。


男女平等を促した先にどのような問題が起こりえるのか
ということをこういうケースから先越して見ておく、
くらいの方が良さそうな気がします。


gender equalityというテーマの締めくくりも兼ねて更に追加ですが

男女平等を促進した先に何が起こるかということからさらに遡っていき、

そもそも
何をもって男と女は平等と言えるんだ?
どこまで男と女は平等であるべきか?

で、男女平等ってなんだ?

という「そもそも」論を考えることがまずはとっても大事なのではないか?!

と最近思いました。


どうやって男女を平等にするか?!
という議論の前にです。


というのは、(なんだかすごくマクロな視点になっていますが、)男女平等促進の裏にある本質を見ていないと、

将来途中から何をどこまで行うべきか迷走してしまいそうだな、ということをスウェーデンに来てみて思ったからです。


でも色んな価値観や考え方があって、こうしたそもそも論を考えるのはなかなか難しいですね!?

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